スマートフォンアプリマーケティング 現場の教科書 がめでたく発売となりました。かなり広範囲に網羅したので、ブログにて書籍の活用や書ききれなかったポイントを解説できればと思っています。第一弾は土日で拡散されなさそうなので、なんでこの本を書いたのか的なポエムを投下しようと思います。
スマホアプリの情報なんかネットで十分なんじゃないか。
以前、コンテンツの流通について少し書きました。
コンテンツと配信の分離を支える技術 - ku-sukeのブログ
そのときから書籍を書くならどういう方法にしようかということを考え続けた結果、書籍というのは体系立てて「これだけ読めばスタートラインに立てる」「時々見なおして漏れがないかチェックできる」ような存在になれれば良いなぁと思いました。
とくに技術書もそうですが、いまは目的を持って探せば、Qiitaやジャンル別メディア、アプリ開発者さんのブログなどでわかりやすく深い、新しい情報を得ることができる時代になりました。
また、単体の記事だけでなくそれらをキュレーションしたまとめ記事も人気です。
しかし、「どのような情報を探せばよいか。」ということがわかっていない状態で飛び込むためには、ネットは少々広大すぎるのです。
新しくアプリを扱う事業に配属された時に、自分のアプリが成功しているか否かの判断軸をどう持つべきでしょうか?
他社事例を参考にするにしても、ソシャゲとユーティリティとカジュアルゲームを一緒くたにして情報摂取しても誤った判断を下す可能性があります。
書籍というパッケージで伝えたかったこと
書籍というメディアは、電子版はともかく書いた記事が約3年ほど流通してしまうので、あまり旬の話題やここ数日起きていること(ex.最近AppStoreの審査が早い)は書くことができません。
実際、この本を書き始めたのは前作が出た後2014年頭からなので、足掛け2年半(納期を破り続け)かかっています。するとどうしても情報が古くなり、校了直前にParseの終了などアップデートをしなければならない箇所が出てきました。
つまり、書籍というメディアは移り変わりの激しい業界を扱う場合は、できるだけ原理原則を書くことを心がけなければいけません。
Parseがよいとか良くないではなく、mBaasを利用するという考え方もあって、メリットデメリットはこうですよ。と。これだとnifty cloudのmbaasでも、Firebaseでも利用するときの評価軸が出来るため、時代の変化に対応できるのです。
アプリ市場は十分高度化し、ユーザーにとっては「普通」に。
最初の本「iPhoneアプリで稼ごう」を書いた時は、まだ副業でやっている個人アプリ作家のアプリも、ランキング上位に食い込めるような牧歌的、開発者にとっては夢の様なな時代でした。言語の問題もあり、日本語で提供されるアプリが普通に動くだけで、一定のユーザーを獲得できました。
2冊めの本では「アイデアだけで勝てる市場ではなくなった」ということを書きました。個人も企業もブームに乗って参入しては、多くが爆死し忘れられる一方で、本気で事業として取り組んでいる開発者は、しんどいながらも十分な結果を得ることができていたと思います。
そうやって市場の変化を取り込んできた第3弾は、実は少しだけ「アプリ」からフォーカスを外してみました。
アプリが当たり前になりすぎて、もちろんアプリだけで完結するようなビジネスも引き続きゲームを中心にあるんだけど、そうじゃない、普通の事業をアプリというプラットフォーム上で展開する人も増えたと思っています。
アプリの開発者やディレクターの皆さんはもちろんのこと、そのような人たちにも迷わずこの激しい世界を進めるような、文字通り「教科書」にできたのではないかと思います。