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技術書の商業出版と同人誌の「間」を解説するよ - その2

前回の記事では、一般的な商業流通の「本の物流の流れ」「お金の流れと権利」について書きました。

 

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それでは、商業出版と同人誌の間の形態って?

まず本の物流面についてです。

具体的には、インプレスR&Dさんのやってる通販オンリーの商業出版がこれに近いと思っています。

前の記事で説明した商業出版では、全国津々浦々の書店に届けるため、約2000-3000部を刷ると説明しました。

一方で、インプレスR&Dさんが取り扱っているのは「プリントオンデマンド」と呼ばれる方式で、オンライン書店で印刷を受けてから印刷する方式になり、事前にリスクを負って刷る必要が基本的にはありません。

この方式に対応しているのは現在Amazonと、一部の大手書店にとどまります。そのため「全国津々浦々の書店に並ぶ」ということは叶わないものの、一般的な電子コンテンツの販売と同じように紙の本を扱うことが可能になります。

さらにAmazonであればKindleをつかって電子版も流通させることができますね。

このような形式でPODを実施している出版社はいくつかありますが、技術書ではインプレスさんがほとんどでしょうか。著者からすると、卸流通に載せるようなまとまった印税は期待しにくいですが、同人誌感覚でAmazonで売れることがメリットでしょう。

 

契約と売上に関しては?

 インプレスさんでは商業出版ということでもともとは独占契約でされていたのを、カスタマイズされてるみたいですね。おそらく売り上げの分配も印税のように売れた分のX%という契約ではないでしょうか。

Kindleに関しては著者個人で申し込むと、35% or 70%が手元に入ります。70%プランはAmazon独占販売などいくつか条件がありますが、それでも35%がはいります。もちろん面倒な手続きや必要なePubフォーマットの作成は必要ですので、手間に見合うかは考える必要があります。

つまり、プリントオンデマンドを利用することによって、紙も電子も同様に売れた分だけというモデルが成立するようになったのです。インターネット界隈の方にはこの方がなじみがあるのではないでしょうか。

ほかにも、自社通販のみのクラウドファンディング型出版のPEAKSさんなんかだと、著者がアフィリエイト設定をできたり、それによって非常に高い売り上げ還元率を実施できたりとユニークな仕組みがあります。

 

このように、「商業流通だけど書店には並ばない」「紙の本だけど事前に数千部刷らない」(からニッチな本でも出版できる)というような新しい方式が、同人と商業出版の間にあるといえます。

そのため、例えば「kindleは自分で出すけど、Koboは出版社」「紙の本はA社のPODでだすけど、電子はB社経由で出す、さらにBOOTHでも売る」「Kindleとnodeで有料で販売する」みたいな様々な方式があるのではないでしょうか。

 

個人的にもこのあたりに非常に興味があり、技術書典6では「Markdownで技術同人誌を書こう!」の続編として「技術同人誌をあらゆるサイトで売ろう!」に挑戦してみたいと思っています。興味ある方は、Twitter@ku_suke か、技術書をもくもく書くSlackを立ち上げているのでそこでわいわい議論しましょう!