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iPadと電子書籍と。僕たちはどこへ向かうべきか

僕のバックグラウンドはWebとiPhoneをやっている人です。その目線で昨今の流れを考察してみました。

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 iPadが発表されましたね。iPodのように、初代はおとなしく、いずれ爆発的に広がるのではないかと予想しています。iPadがでたことで、僕たちデベロッパはどこに向かうべきなのか、それをさまざまなキーワードで考えています。

コンテンツ→デバイス→ユーザー体験

 近年の大きな潮流として、サーバ側はクラウド、クライアント側はデバイスの多様化があるんじゃないかとおもいます。
 サーバはより複雑化し、分散し、シェアされて僕たちの手近にやってきました。「スケール」というキーワードの元にRDBMSからNoSQLへ、所有から利用へ、価値観の変化が訪れています。
 一方クライアントはといえば、気がつくと一定のサイズの液晶を備えているほとんどの機器にブラウザが搭載されてしまいました。僕がこの業界に入った頃は、1024x768がやっと主流になり、WEBデザインは800以下で作るのが定石でしたが、今では解像度も入力デバイスもばらばらな機器向けに、いかに最適なUIを提供するかという点で設計を行う必要があります。
 これらの変化はユーザーのWebに対する接し方を変えてしまいました。もはや何年も前からパソコンの前で座ってするものだったのが、コンビニでジュースを買ってのむように身体の一部として溶け込んでしまっています。

さて、この技術的な変化、それにともなうスタイルの変化にしても、変わらないものがあるように思います。それは、ユーザーは「コンテンツを何らかの端末で得るという体験」その物です。新聞が紙で配られて朝トイレにこもって読むのも、地下鉄で電波が復活するたびにRSSリーダーを消化するのも、形は変われど基本的に同じではないでしょうか。

なので、iPadがでても、ライフスタイルこそ変化すれどコンテンツの流通という面ではほぼ変わらないのではないでしょうか。

電子書籍がもたらす「出版」のカジュアル化

「ほぼ」変わらないと書いたのは、タブレット端末の登場でコンテンツの側に大きな変化が訪れることが容易に予想できるからです。「ブログ」の登場により、Webに詳しくない一般の人が気軽に情報発信できるようになりました。「オンライン音楽ストア」の登場によりインディーズバンドは1万円ほどで全世界に配信出来るようになりました。「アプリストア」は日曜プログラマーが自分のプログラムを簡単に販売し収入を得ることを可能にしました。

電子出版は、「出版」という行為を個人レベルまで敷居を下げるパラダイムシフトを起こします。AmazonやAppleGoogleが膨大な資金を元に流通経路を構築し、デバイスを普及させたインフラは、驚くほど簡単に「乗っかる」事が可能です。これは個人と大手法人の差をあっという間に埋めてしまうことが可能です。通学中にポチポチケータイで入力した小説を、コンテストで優勝しなくてもほぼタダ同然の金額で電子出版できてしまいます。今までは読者数をかせいでランキングに上り詰めて書籍化を目指していた高校生たちが、気がつけば電子書籍で何千万円もの収入を得る時代が来るのです。
コミケの同人誌販売もいずれ「そんな時代もあったね」と東証の売り買いみたいな歴史の1ページになるかもしれません。

もちろん編集という「コンテンツの質」まで個人で同じものが出来るわけではありません。が少なくとも言えるのはカジュアル化することで、量が増え質が下がることは目に見えています。ベストセラー小説と、一般人の自分史がおなじストアに並ぶのです。

僕たちはどこへ向かうべきか

さんざん選らそうな事書いておいて、僕の結論は「お好きなところへどうぞ」です。仕事を辞めてベストセラー作家を目指すも良し、iPadをはじめ増え続けるデバイスに最適な体験を提供できるアプリケーションを開発するも良し、コンテンツを流通させるインフラを極めて安定収入を目指すも良し。
 確実に言えるのは二つあって、流れが速い時代に合ったスピード感を身に付けることと、選択肢が増え続ける中で自分が自信を持って取り組める仕事を探し続けることでしょうかね。

さいごに

安定した受託業務をこなしながら新しい技術を使った自社サービスにも関われる弊社では、僕と一緒に馬車馬のように働く人材を募集していますwそのうちイーキャリアにも掲載されますが、求職中の方はgachasan [at] gmail.comまでご連絡ください。渋谷です。

追記:iPhone開発者も募集するようです。

※本ダイアリーは個人的な意見を述べる場であって会社としての見解ではありません。念のためね。でも募集はしています。