①と書きましたが2に続く保証はないです。AIがあればたいていのことは教えてくれるし、プログラマーだっていらなくなるといわれてます。
が、いまだにプログラマーはAIのお守りをしているし、一向に仕事を奪ってくれないのです。今日はそんな駄文を書きます。
# 知識があると、得られる情報量が増える
同じ情報をインプットしても、知識がある人とない人では、そこから受け取れる情報がちがいます。例えばこの写真を見てみましょう。

動物が好きな人であれば、ここに写っているカモのようなものがカナダグースであることがすぐにわかります。その知識があれば「これってカナダの写真?」という追加の情報を得ることができます。
草花の知識があれば、デルフィニウムの咲く季節について考えることができます。公園の建設設計にかかわる人であれば、これらの配置や構造について学びを得ることができるかもしれません。
しかし、そういった知識のない普通の人は「公園にカモみたいなのがいる写真」としか情報を受け取ることができないでしょう。
次はこちらです。

僕にはどの国かわかるような知識はありませんが、マフィンが売ってるのできっとカフェだということは推測できます。そしてこのタブレット端末は、Squareかなにかの決済端末で、客は忌まわしき高額なチップを払おうとしているのかもしれませんね。

どんどん行きましょう。ドラゴンが飾られたかっこいい灯篭ですね。これは東京日本橋にある照明塔で、ドラゴンではなく麒麟です。
歴史の知識がある方は、この写真から何年ごろに作られたもので、そのような古いものと背景にある建設中の真新しいビルとの対比を感じるかもしれませんし、日本橋を毎日通勤されている方は、川の匂いと暑い日差しを思い浮かべるかもしれません。
逆に車に乗られる方は、首都高の高架を撤去して地下化するプロジェクトについて思い浮かべるかもしれません。
座学でも経験でも、人間はすでに知っている知識と受け取った情報の間にリンクを張るように、物事を関連して考えるようになっています。
エンタメでも同じです。ガンダムシリーズを見てきた人は、そうでない人たちより、最新作のGQuuuuuuXを見ても何倍も楽しさを受け取ることができます。
# 差分で判断する
この記事というかメモを書こうと思ったのは、AI時代に子供たちにプログラミングを教える必要はあるのか、と自問自答したことにありました。
毎日お世話になっているClaude Codeをはじめとするコーディングエージェントは、私たちデジタル職の仕事のスタイルを大きく変えてしまいました。しかし一方で、何の知識もない子供たちにClaude Codeを与えてそれでおしまいかというと、そんなことはありません。
子供だけではありません、営業マンにこれを与えて「これからは自分で開発してね」とならないわけです。こんなに優秀なのに、使いこなすにはプログラミングやアーキテクチャ、プログラムを動かすとはどういうことかという知識が必要になります。
私たちは知識と知識をリンクさせているので、「すでに知っていること」と「今目の前で起きていること」を比べるのはとても速度速く処理することができます。そのため、自分でアプリケーションを開発したことがある人は、コーディングエージェントの動きを見て「ここはいい」「これはだめ」と比べながら判断できるのです。
しかし、なにも情報がない場合は、比べる対象がないために、なかなか高速に処理することができません。視覚から受け取った情報から、経験者が自分の知識とあわせて200%300%の情報を瞬時に処理できているのに対し、知識がないと100%以下の情報しか処理できないからです。
もし冒頭の公園の写真を見せられて「こういう公園を日本で作って!」と言われたときに、知識がある人はどんな思考をするでしょうか。
- クライアントがこんな公園を作りたいと思ったコンセプトの研究
- 要素を抽象化して草花や水鳥の共生をテーマに据えてはどうか
- 日本の高温多湿な風土にある草花や鳥は何か、どのように定着させるか
- 空間設計はどうするか、人間がここまで近づいて大丈夫か
- 餌やフンの問題、池を設置した場合の維持管理費はどの程度か
- 安全管理や避難場所など公共空間としての役割はどうか
いろいろな軸がありますが、知識がない人は、「公園なんて原っぱやしさっと作れるやろ!」と思って深く考えません。深く考えないというよりも「気づき」だったり「疑問」を持つことができないのです。
AIはとにかく高性能ですが、AIへの「適切な質問」ができなければその能力を引き出すことができません。そのためには、あなたがその目で、その耳で受け取った情報から、リンクさせるべき情報の引き出しを持っていることが大切なのです。
これが、AI時代であっても、プログラミングをはじめ様々な知識を学び続けないといけない理由です。