Android案件の見積り | クラスメソッド開発ブログ を読んで、業界人らしき人のブコメが、「この程度でホッテントリか」という感じで、僕もややそっちよりの意見だったので、ざっくり補足できそうな点について書いて見ました。もう転職して受託の立場ではなくなったので。やや発注側の視点も含まれています。
責任のないリスクについてコスト負担範囲を決める
すべてにおいて最重要項目です。変化の激しいスマホ業界においては、互いのリスクテイクについての認識をあわせておく必要があります。例としてはこんなものがあります。
- 開発期間中に突如OSのメジャーバージョンアップがあった。
- 顧客「あ、新しいのでましたね。対応できますよね^^」
- 世論に応じて機能の根幹部分が突然リジェクト対象になる。
- りんご「今日から電話番号認証禁止ね^^直さないと削除しちゃうよ^^」
- 過去を顧みない方針転換がなされる
- ぐぐる「メニューボタンは、もう下部のやめようと思うから、上部に各自実装よろしく^^」
このような双方に責任のない追加開発がときどき発生します。費用はどこがどれくらいの範囲まで持つのか、決めておきましょう。
ブラッシュアップ
また、大きくぶれるのは細かなUI部品や動きの制作費です。同じ機能を実装するにしても、標準機能のみを使い実装するのと、スクラッチでカスタムビューを作るのでは、コード量にして数十倍、テスト時間もその分何倍もかかりますが、見積時に言語化しにくくもめる部分になります。
TitaniumやPhoneGapだと、HTML/JSでかける範囲を超えてネイティブのモジュール開発が必要になると極端に跳ね上がりますしね。おすすめは、ブラッシュアップに関しては成果物でなく時間に対して費用をかける方式です。
また、顧客に対して、マーケットから手頃なアプリを松竹梅でUIのコストがかかってそうな順に提示し、これだと1000万くらい、これだと500万くらい、これだと200万くらい、とUIのブラッシュアップがいかにお金がかかるかを例示するのも良いですね。
例)
・初期制作:150万円(検収条件:当初のデザイン案通りに動作するところまで)
・ブラッシュアップ:5人日/25万円
さらに、納品後の画面遷移の変更は、HTMLとちがい機能やデータの持ち方と密結合になっている場合が多いので、Webページのリンクを張り替えるのとはわけが違う認識を双方で共有する必要があります。
特にハマる環境は高くつくことを明記
- Xperia、IS03初代は別料金
- CPU 1GHzに満たない廉価機対応は別料金
- AndroidOS2.1以下は別料金
- 2.1に対応するなら、4.0は別料金
- iPhone 3G、iPod touch 3rd以下は別料金
- 本アプリのカメラ機能は端末ごとの動作に差異が出やすいため、動作保証機以外の不具合はすべて検証及び改修工数が別途必要。
- きっちり横画面対応はおねだん1.5倍
などなど、地雷を踏んだ経験のある人程明確にしてくるので、上述のリスク範囲を協議しましょう。
瑕疵担保の条件
ウェブや業務システムなどと違い、クライアントのバージョンアップ速度が半端無いので、「この端末のこのOSで瑕疵がないことを担保する」という事を言っておかないと後々もめます。ウェブ屋さんに例えると、去年IE7用に作ったのに、今年IE8が登場して見た目が崩れて瑕疵担保請求されても、、というイメージでしょうか。
例)Android 2.3を動作保証、Android2.3.xは瑕疵担保範囲、それ以上のバージョンアップは別途検証費用が必要
また、事前に打ち合わせた機能としては満たしていても、エンドユーザの目から見ると(そもそも設計に)欠陥があることが発売後レビューなどで発覚します。これらの修正コストをどのようにするか決めておかないと、お互い不幸になってしまいます。発注側にある程度事前に予算をとっておいてもらうのがいいと思います。
こんなかんじでしょうか。AndroidだけでなくiPhoneでもある程度共通するのでざっくり書いて見ました。このような内容を、拙著「iPhoneアプリで稼ごう」では解説しているので、もしよろしければご覧くださいませ。