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副業している人も普通に会社の年末調整やっていいよ

複数のSlackでこの話題を見かけたので書いてみた。参考になればと。

免責:当方は6回くらい確定申告をしただけの一般人なので、本記事はあくまで個人の経験を書き記したものです。税務に関するアドバイスには法律に基づき専門の資格が必要ですのでマネフォとかfreeeに対応している税理士をそれぞれのサービスから検索するか、今この空いている時期にお近くの税務署にいくとめっちゃ優しく教えてくれます。あと間違った認識があればブコメでそっと教えてください。

とりあえずざっくりこれを見て

このブログを見るようなIT系の会社員で副業したんだけどどうすればいいんだ??という人は、まず概念だけ覚えて帰ってください。これは年収500万とかの給与収入と、年間100万くらいの副業収入(業務委託契約)がある人を想定しています。

 

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 副業している皆さんのための年末調整と確定申告の関係性を表した図です。漏れもあるし必ずしもやっていない人もいると思うので(とくに控除回り)そこは無視してください。

ようは、年末調整をいつも通り会社にやってもらって、その結果(源泉徴収票)と副業の活動などを確定申告であわせて入力・提出するという感じです。

 

 

以下おまけ

年末調整とはサラリーマンのための税務効率化施策

税徴収大変だから、会社である程度やってくれよーという我が国の制度が年末調整です。

終戦後の昭和22年、税務署職員の不足などから給与所得者については、源泉徴収だけでなく、会社が年末に扶養親族などの所得控除を計算して、税額の精算手続きまで行うことが決定されました。 これが、現在の年末調整の始まりです。

年末調整はいつから始まった? | 杉山会計事務所 | 代表税理士 杉山博

 そのため、会社の総務の人がいろいろとこのあたりの処理を業務としてやってくれるので、利用して問題ありません。感謝して、提出物はきっちり耳そろえて締め切りまでに用意してあげましょう。

年末調整では、超簡単に言うと「給与」から一定割合「税とか社会保険」を毎月引いてきたけど、国が認めてる経費みたいなもの(「控除」といいます)がある人には、その分を会社で計算して返すよという調整が行われます。なので、扶養家族がいたり保険に入っている人は、12月の給与が少し多いんですよね。

年末調整で控除した分は源泉徴収票で登録できるので安心して

会社に保険の控除資料だしちゃったけど、確定申告のとき困らないのかな・・」とか僕も最初は悩みました。

結論、大丈夫です。

2,3か月後に訪れる確定申告のために年末調整が完了したことを示す源泉徴収票をなくさなければ大丈夫です。

源泉徴収票には、そういった給与所得、税や社会保険、控除が記載されています。そのため確定申告時にそれらを入力欄に埋めるだけで大丈夫と僕も税理士さんに言ってもらって安心しました。

何をどっちで控除するの?

この図で控除がものにより分かれているのが気にある人もいるかもしれません。単純に可能な限り年末調整に寄せたらこうなったという図になります。

  • ふるさと納税に関しては、確定申告をする人はワンストップ制度が利用できないため、確定申告時に入力することになります。
  • 住宅ローン減税は、1年目は確定申告しないといけない決まりなので、確定申告します。2年目からは年末調整用の書類がもらえるのでそれを添付します。

なので、会社で既に制度がある控除はできるだけ会社でやってしまって、それ以外を確定申告でやるとよいかなーと個人的に思います。

 

それ以外の〇〇はどうなってるの?という質問に関しては、お金に余裕がある人は税理士(年内に利用すればそれも今年の経費にできる)に質問するか、税務署に行ってください。

それではよい年末調整ライフを!

MSI Creator 15を買った!在宅に最適化し重くてもハイスペックに。

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4年越しに新しいノートPCを買い換えました。MSICreator 15という機種で、US Amazonで買ったら3日で届きました(はやい)

ちなみに前回の機種はHPのSpectre x360だったのですが、非常に満足度の高い機種でした。購入レビュー↓

blog.ku-suke.jp

 

コロナでマシンの選定基準が変わった

今回、検討し始めてから約半年くらい悩んでたのですが、コロナで在宅中心になることをにらんで軽さよりもスペックを選びました。

当初はHP Dragonfly買う予定だった(999g)

当初は、HPのDragonflyを検討しておりました。いまのSpectreをさらに軽くして、右端のよくわからないPgDnキーとかの列がない点が魅力的でした。

jp.ext.hp.com

しかし、2020年になってもCPUが第8世代Intelのままで、AMDモデルどころか10世代版もなかなか出ないため、次を探し始めました。

Ryzen 7+32GBメモリ機(1.3kg)

1kgを切る機種となると、東芝富士通あたりがスペック上は頑張ってました。実際業務で使っている人のを触らせてもらったのですが、なかなか良かったと思います。しかし、欲しいスペックと価格を考えるとイマイチ食指がのびませんでした。

そのころ(今年の8、9月くらい)Ryzen搭載ノートがたくさん出てきて、コスパがめちゃくちゃよかったので、1kgを少し超えてもいいからと、Ryzen 7 4700U搭載でメモリが32GB換装可能なD社のノートを注文しました。

しかし、届いて使ったところSpectreと比べて画面も音質もマイク性能も筐体の剛性もキーボードやトラックパッドのフィーリングも、明らかにグレードが下がった感があり、我慢できず返品してしまいました。ごめんねD社。

 

せっかくなのでGeForce RTX搭載機で探してみる(2.1kg)

スペックに乗ってこない全体的な部品のグレードも気をつけなきゃ、、という思いと、この際もうそんな電車で通勤しないんだったら重さ何でもいいや!とMacBook Proも視野に入れてさらに高スペックマシンを見て回りました。そこで目についたのが機械学習の勉強によさそうなNvidia GeForce系で、TensorコアとかいうなんかよさそうなのがあるRTX搭載機を探すことにしました。

 

しかし、RTXを搭載するとなると、選択肢がほぼゲーミングPCばかりになります。さすがにビジネスでの利用がメインなので、キーボードや天板が7色に光るのはいかがなものかと思うわけです。あとwebcamがついていない。ASUSROG Zephyrus G14とか結構デザインがおとなしくよさそうと思った機種も、カメラがなくて断念しました。

そういうわけで

  • RTX 20XX搭載機種
  • メモリ32GB以上使える
  • トラックパッドとか本体の質感よさそう(アルミ筐体とかで探した。)
  • カメラ付いてる
  • 重いの許容とはいえ15インチクラス2.5kgくらいまで

あたりで探すことにしました。

そこで第一候補に残ったのがHP Envy 15だったのですが、米国の転送屋の住所を指定したせいかクレカが6種類くらい全部NGでDeclineされてしまい、オフィシャルストア以外BTOモデルがなかったので諦めました。

 

失望の中Amazon.comが神だった

もうワイにはPCは買われへんのや・・そう思っていましたが、laptopmag.comを眺めていたらぜんぶAmazon.comのアフィに飛ばしていたのを思い出し、Amazonまだチェックしてないやん!と思い立ちさっそく探しました。

https://www.amazon.com/s?k=RTX+32GB+laptop&ref=nb_sb_noss_2

RTX搭載している32GBメモリのlaptopをさがし、その中から見た目がおとなしくてShip to Japanと出ているやつを見ていきます。そうして第一候補に挙がったのが今回購入したMSI Creator 15です。次点はRazer Blade、HP Omenの新しいデザインのやつでした。

 

www.amazon.com

jp.msi.com
(リンク張ってますが日本未発売モデルです)

MSIの印象はパソコンパーツショップで売ってるメーカーというもので、あまり(特にデザイン面には)いイメージなかったのですが、本機種はクリエーター向けに特化し、アルミボディにAdobe RGBの色域、通常のノートより上質なトラックパッドを搭載しているとのことで、これはいけそうだということで最終決定しました。

そして、10/30に注文して、11/2に届きました。72時間かからず米国から日本へ通関して練馬区までお届けするAmazon恐ろしい子・・・!

 

ファーストインプレッションとしてはまずます

まだこの性能を生かすような使い方はしていないのですが、それでも基本性能は良さそうです。

  • 起動後Windows Updateをかけまくると、ファンが爆音でなり続ける。15インチで厚みがあるので、かなりCPU/GPU使っても冷却できそうな風量でした。
  • アップデートが終わると、ファンの大きさが影響してSpectreより静かでした。これはスペックの問題かもしれませんが、リモートデスクトップしながらChromeでタブ広げまくってSlackのワークスペース7,8個行ったり来たりして、Zoomを仮想背景でつないでもファンは低速モードでした。
  • トラックパッドは快適です。Spectreと同等か、新品な分くちらのほうがスムーズに感じました。指紋認証の速度も良好です。
  • キーボードはSpectreのほうがしっかりしています。あとEnterが右端じゃなく、また右端にpgup/dnたちがいる生活です。
  • 画面はめちゃくちゃきれいです、さすが広色域だし、めっちゃ明るいし、4Kだし。タッチじゃないのですが、この4年ほぼタッチは使わなかったので良いかなと思いました。
  • 重さは、重いです。けど2.1kgなので片手でほかの書類と合わせて持ち別フロアの会議室まで階段を上り下りするというシチュエーション以外では大丈夫そうです。こんな重いPCを使うのは10年以上ぶり、PowerBook G4 17以来です。
  • 電源がやばいです。230WのSlim Adaptorがついてるのですが、Slimであって決してCompactではありません。6インチクラスのスマホを5枚重ねしたような大きさです。USB PDにも対応しているのですが、65W未満は断固拒絶!緩やかに充電もしない!!という挙動なので、電源周りはちょっと苦労しそうです。

というわけで、いろいろツールを使ってレビューしていこうと思います。お楽しみに!

(3D MarkというのをやりたかったのですがSteamというゲームソフトを入れないとダメなようでかつ有償だったので断念しました。)

遊びで始めたYoutubeがスキルあがって楽しい

先日、ちょっとした好奇心でYoutuberデビューしたのですが

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やはり自分自身が音声オフで飛ばしながら視聴することが多く、字幕を入れる方法について検討し、効率化を行い

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だんだんと編集に慣れてきて、ついに自分がしゃべる動画を編集するところまでたどり着きました。音声に関しては改善の余地があるものの、絵作りのワークフローに関してはかなりスキルが上がって満足してきました。

現在のワークフロー

というわけで、現在のYoutubeワークフローはこんなかんじです。どうもYoutubeは登録ユーザ1000人突破するくらいまでは修行モードっぽい挙動なので、地道に動画を上げ続けるしかなさそうです。

1. [企画]ブログ、noteに書くネタを見つける

自分はまだブロガー脳なので、Youtubeでというよりも、ブログが先に来ます。例えば今だとFacebookに書いたのですが「車内で二酸化炭素濃度を測定した」というものです。

これだと短めのブログ1本くらいかけそうな内容ですね。だいたいの目次が想像できます。

  • ようはなに?→車内って二酸化炭素濃度が高そう・・実験してみた
  • 実験の結果サマリ
  • 実験に使った機材紹介
  • 計測方法の紹介
  • 実験の結果と、分かったことやエピソードなど
  • 次回もまたみてね!

2. [プロット]目次を意識しながら写真や動画を集める

スマホで適当にとります。意識低いYoutuberなので、動画取り損ねても写真を並べてアフレコすればいいやと思うので、多めに取ります。

しゃべりに関しては、だいたいアドリブです。めちゃくちゃ詰まったり、4かいくらい言いなおしたりしますが、編集するので大丈夫です。

人によっては台本を準備した方がいいと思います。後述の追加素材でも足します。

3. [プロット2]ブログ、noteを書く

内容を推敲する代わりにnoteに書きます。だいたいnote1,2本で1本の動画になります。このとき、動画素材しかとってないものは画質を気にせずキャプって載せます。

note.com

4. [コマ割り]PowerPointでコマ割りとセクションタイトルなどを作る

これは従来通りで、ふだんのLTなどの発表スライドを意識していきます。すこしYoutubeで異なるのは、オープニングとエンディングのスライドを用意するくらいです。とりためた写真や動画素材をみながら、写真は縁取り文字(これもパワポで作れる)をのせて、動画を流し込むところは動画を入れる。と書いておきます。

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出来上がったスライドは、アフレコメインの場合はOBSを使ってタイミングを合わせながらスライドショー的に録画し、枚数が少ない場合はpngの連番画像ファイルに書き出します。

5. [仮編集]動画素材をLumaFusionにぶっこむ

LumaFusionというiPadアプリが使いやすく、GoogleDrive経由したりUSBメモリでファイルアプリにコピーしたりしながら、素材を並べていきます。だいたいこのへんで腰が重くなってくるのですが、とりあえずならべてインスピレーションを膨らまします。

 

とりあえず、パワポのコマ割り通りに並べて、動画の「あー」とか「えっとー」とか、4回くらい言いなおしている部分や無音部を取り除きます。BGMもこのタイミングで入れてきます。BGMがあるほうが編集作業が乗りやすい気がしました。

 

6. [アフレコ]LumaFusionでそのままアフレコ

 

今回は直接アフレコしました。iPhoneで録画録音同時にしたものと、アフレコしたものでは、音量も、反響も全然異なってしまったのでここは次回以降の課題です。

 

7. [効果音]効果音ラボのSEをすこしいれる

 

これはなくてもいいです。太鼓の音(どどんっ)とか拍手(ひゅーーぱちぱち)みたいなやつです。Youtubeっぽさがでます。

効果音ラボ - フリー、商用無料、報告不用の効果音素材をダウンロード

 

8. [字幕準備]音声を書き出しRimo Voiceにくわせる

字幕を準備します。動画内のしゃべり+ナレーションの音声のみ(BGMやSEのチャンネルはミュートにし)音声を書きだします。書き出したファイルをRimo Voiceにアップすると、5分くらいで書き出されるので、VTT形式でダウンロードします。

https://rimo.app/about/voice

 

9. [字幕焼きこみ]aegisubで編集して、ffmpegで字幕を焼きこむ

これは好みの問題なのですが、ぼくは字幕が動画内に焼きこまれてる方が好きなので、先ほどダウンロードしたVTTファイルをffmpegでass形式に変換し、aegisubで見た目やフォントを調整しながら字幕を調整していきます。

完成したら、上書きしたassをffmpegにくわせると、10分ほどで字幕入り動画が完成します!

Aegisub Advanced Subtitle Editor

10. [アップ] Youtube Studioでアップする

アップしたら、タイトル、説明文(目次とハッシュタグを含める)、サムネ、終了時のカードを設定して公開するだけです!

 

以上、備忘録代わりに書いてみました。次回は録音環境に関する考察を進めてみたいと思います。もしよければ登録1000人に向けて、チャンネル登録いただければ幸いです!


ミニバンに机おいたらモバイルカーオフィス完成した

 

お役所や大企業がIT調達の呪縛から逃れるためには

宮坂さんのTweetを拝見し、僕もここ数年DXだとかFintechだとかよくわからない業界でもがいてきて少し見えてきたことがあるので言語化してみたい。

おさらい。IT調達の呪縛とは

まずはじめに、この国の遅れたIT化や、いけてない(ようにみえる)システムがなぜ起きているか、その原因の多くが、システム開発を「モノの調達」と同じフローに載せていることである。

たとえば、コピー機を100台、カラーレーザー複合機で冊子綴じ機能付きで導入する場合、1台100万円で1億円ではあるものの、そんなに失敗したとかいう声は聞こえてこない。このような既製品を調達するノリでITに関しても発注が行われ、失敗を繰り返していることをIT調達の呪縛と呼ぶ。

ではなぜ、ITシステムは調達ではいけないのか。それは(海外を含む)民間事業者の努力により、市民は、スマホをはじめとしたデジタル機器をカンタンに使いこなすことが日常となっているからだ。

考えても見てほしい、日常的にガスコンロやIHでお湯を沸かす人たちに対して、少々不便ですがお湯は温まりますので・・・とチャッカマンと薪木を渡して許されるだろうか。各家庭がまだかまどで、マッチしかなかった時代にチャッカマンを配れば「よくやった」と褒められるかもしれないが、いまではキャンプに行けばいいのですか?となってしまう。

使う人の方が求めるレベルが上がっている

適切なたとえだったかはわからないが、言いたいことはこれだ。UXピラミッドなどと呼ばれるが、使う人たちがいるシステムはおおむねこのような段階を経て満たされる

  • レベル1:【存在する】いままでWebで出来なかったのが、私のPCでできる!私のスマホでできる!
  • レベル2:【信頼できる】Webでできるのは当たり前になったけど、セキュリティにも配慮されて、ちゃんと広報されてて信頼できる!
  • レベル3:【使いやすい】いままでは結構説明読んだり、事前準備が大変だったけど、1分でできちゃった!
  • レベル4:【感動・やりがい】このシステムを使っていると社会に参画してる実感が持てる。もっと自分の地域に貢献したい

ここで問題が起きる、レベル2までは、おおむね事前に予測がつくが、レベル3はベストプラクティスを知っている人も少なければ、関係者間でも感性的に意見が分かれる。民間のマーケ系制作でも偉い人が気に入らないとか言ってちゃぶ台返しされるアレだ。

そして、この事前予測が難しい事と、合格かどうかに感性的な要素が加わるのが、合議的な意思決定組織、あるいは受発注の関係で成果物責任を問われる場合に致命的に相性が悪いのだ。

あわせて、お役所的には広く市民にサービスを提供する観点から古いブラウザや視聴覚が不自由な方向け対応など、さらに難易度が高まることは付加しておく。

アジャイルにすれば解決する問題ではない

役所に関わらず、このような組織のトップや管理職の方は、課題意識はちゃんと持っている。なんとかならんのか。と。うちもアジャイル開発とやらを導入すればいいのではないかと。

そして残念ながら解決しない。1スプリント1か月もかかるようなアジャイルという名のフェーズ分けしただけのウォーターフォールが出来上がって終わる。アジャイルが問題なのではない、アジャイル開発はあくまで開発手法であって、予算取りや事業企画、コンプラチェックや既存の基幹システムを保守してるベンダーの折衝はスコープ外なので。そして大きな組織、硬い組織というのはこの開発以外のボリュームの方がでかいのだ。それらから目をそらし開発だけアジャイルにしても退職者を増やすだけである。

ではどのようにすればいいのか(提言)

ここでもうお役所のシステムは内製化しようなどというのは暴論である。100人のエンジニア組織をつくって、そのメンバーにお役所の業務知識を学んでもらうのに何年かかるのか。この高騰した相場でいくらかかるのか。完成する前に責任者が入れ替わってしまってぽしゃるのは目に見えている。

大切なのは、既存のフローやルールの枠組みの中でまずは何とかしてQuick Winを作ることである。そのためには以下の方式を提案したい。

予算に含める内容を工夫する

まず予算取りからだ。予算を取るステップをたとえば以下の4つに分類する。

  • 調査予算
  • 開発予算
  • 保守予算
  • 運営予算

調査フェーズ

これはいくつかあるが、簡単にいうと業者に対する入札仕様提示を精緻にするための調査予算だ。内容としては、既存システムとの連携や影響度調査(既存システムの改修が走るのかどうかとか)、業務フロー調査、法務・コンプラ調査、技術調査(先日のiOSでのNFC開放など新技術の場合)そしてUX調査をここに加えるのだ。

開発フローの中でUXの改善を行うのはまずあきらめる。パワポで作る代りに、紙芝居のHTMLをRFP用ドキュメントとして作成するのだ。

これは宮崎県が取り入れた手法だ。中の職員がイケてる。

togetter.com

つまり、従来は「機能を満たすための付属品であった委託内容に含まれる画面設計」から「使いやすさの仮説を検証するためのUX調査および成果物としてのモックUI紙芝居RFP」にスライドさせる。できればここは民間からの出向を受け入れたりして内製できると好ましい。既存の業務フローとのすり合わせや、過去に飛んできたクレームなど、中の人しか経験していない暗黙知がたくさんあるからだ。

開発フロー

開発は今まで通りウォーターフォールで行うが、APIの提供を義務付ける。政府CIOが公開しているAPIガイドラインに沿って、すべての読み書きをAPIで出来る事を義務付けるのだ。それにより、サーバ側とフロント側の開発ベンダーを分ける事ができ、ベンダーの得意分野を生かすことができる。

標準ガイドライン群 | 政府CIOポータル

そしてここにきて、先ほどのRFPにおけるUIモックが生かされるのである。UIモックを実現するためにどのようなAPIが必要かサーバベンダーも見積もることができるので齟齬が少ない。

なお、SPAでアクセシビリティ高くサイトを構築できるベンダーが見つからないことも予見されるので、その場合は超絶シンプルなLiteバージョン、NintendoDSガラケーでも動くバージョンを簡易版として納品要件に入れるとよいだろう。全員に同じ体験を提供する必要はなく、プログレッシブエンハンスメントを行えばよいのである。かつ、そのシステムがあるとデバッグの効率もよくなるだろう。

保守運用フロー

保守と運用を分けたが、単に予算計上の仕分け科目が異なるから、くらいの意味合いだ。

大切なのは運用フローにおいて、フロント側のみ改修を行うのである。これもウォーターフォールで構わない。運用予算というのは月額決まった範囲で運営されるので、要件定義から開発までを2週間で行い、各種内部審査・テストを受けて3週間目に公開される、このフローを実現できれば月2回改善できることになる。まるで2週間スプリントだ。

市民の声を受けて改善するのに、アジャイル開発でなければいけないわけではない。従前のモノリシックなシステムでは、責任分界点があいまいなので一つの改修に何週間もかかって莫大なコストを負担する必要があるのが問題なのだ。

ちょっとした文言の工夫、ちょっとしたJavaScriptでのアシスト。それで足りるカイゼンは山ほどあるし、それで足りない範囲は2次フェーズとして改めてプロジェクト化すればよいのである。

本当の脱却はこれからだ

これらは、既存の予算調達やいろいろなしがらみをエスパーしながら書いたものだ。導入に当たっての最初の第一歩は、とにかくUX調査フェーズをシステム的な実現性調査フェーズに入れ込むこと、API提供によるフロントとバックの分離だと思う。

しかし、これらが実現した暁には、真にシステム化された組織(職員の多くがデータ分析ツールを使いこなし、なんならNoCodeでさっと市民向けのプロダクトを提供する)にむけた、既存の仕組みを改革するためのノウハウが組織の中にたまっていくのではないかと思う。

追記:ぶっちゃけた話これを変えるだけでも相当な組織変革が必要

ブコメ見て根本的なことを書いていなかったのを思い出した。硬直した組織で、山のように規定された行動様式があって、縦割りによる弊害もあってがんじがらめになってる現場では、この程度の変化さえ受け入れが難しいと思っている。

このようなIT改革は別にITに限ったことではなく、組織改革であり業務フロー改革なので、いちメンバーやましてや、そこから発注を受けているSIerさんでは無理な話だ。

変革リーダーをたて、トップが多少の失敗をものともせず強く後押しし、まずは既存のルール内で解釈の幅、各部門長に根回しネゴしたうえで、各部門の裁量で何とか許せる範囲で新しいことを試す。Quick Winを作るというのが定石だ。

そして、多少の犠牲をはらいつつ、刺したり刺されたりしながら成し遂げるのがDXとか言うんじゃなかったでしたっけ。

 

会社は頭から腐る

会社は頭から腐る

 
徹底のリーダーシップ

徹底のリーダーシップ

 

Youtubeのテロップ制作フローを効率化してみた話

前回に続き今回もYoutube動画制作ネタです。いろいろと初めて見ると気づきがありました。

字幕画像を自動生成できるようにした

仕事がけっこう忙しいので、どうしても夜間休日の子供が塾に行っている時間とかがメインになってくる関係で省力化は大事です。そこで前回はスライドショー的な形式をやってみることである程度LT発表に近い手間でYoutuberデビューすることができました。

 

ところが、自分普段はYoutube音声なしでとばしまくりでみることが多いんですよね。そういう視聴スタイルからすると、字幕のない動画はつらい。ただしYoutubeの自動字幕ってつけたり外したりが面倒なので、動画内にテロップ的に出してほしいんですよね。なので作りました!

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テロップの様子

このように、だいたい動画の幅に合わせた文字数で入力し(複数行画像は¥nで制御)えいやっと押すと

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こんな感じで生成できます!

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こいつを、GoogleDrive経由でiPadにコピーして、Luma Fusionで読み込ませて、ひたすら並べていけば完成です!出来上がった動画がこちら

 


オフィスに改造するための中古ミニバンを買いに行ってきた!【ディーラー即決】

よかったらチャンネル登録&高評価をお願いします!

 

仕組みとしては、PHP+iMagickで、まず白い枠を太く描画し、同じサイズで通常の文字を描画すると、いわゆるテロップ風のフォントが完成します。バリエーションが欲しいけど面倒だったので、!で終わる行は赤文字 ・・・で終わる行は青文字になるようにしましたw

 

ちなみに文字起こしプロセスも自動化

 スライドに合わせるアフレコ形式なんですが、録音マイクの横にPixelを置いて音声文字認識でテキスト起こしをしています。Slack経由でコピペして、先ほどの自作ツールに張り付けたあと整形しています。

 

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これらの方法で効率化しても、文字を並べる作業だけで100個くらい発生するので、もっと良いソリューションがないかと考えてみます。録音時に秒数とっても、結局編集して時間がずれるのであんまりなんですよね。

 

LTを録画する気持ちでYoutuberデビューしてみた話

Youtube、みなさんみてますか。僕は一切見てなかったのですが奥様が見始めてから一緒に見るようになり、結構見るようになってきました。昔はいわゆるヒカキンさんみたいなYoutuberしか知らなかったんですが、実際に見てみるとブログ的な内容を動画にしたやつの方が多く、ダラダラとみてしまいますね。

とりあえず機材を買ったものの

それで、エンジニアの人とか、知っている人もふつうにYoutubeに発信し始めていたので、僕も始めてみることにしました。

ひとまず形からということで、自分の法人の決算期に合わせ機材だけ買い込んでいたのですが、セットアップだけしてチュートリアルを実施しただけで始めていませんでした。やはり自分の得意分野を発表するとなると気構えてしまい、なかなかダメですね。

そんな中、ふと思い立って「モバイルカーオフィスを作ろう」という中古車を買って快適な作業環境をつくるというプロジェクトを始めたので↓

note.com

こいつを題材にやってみることにしました。お遊びプロジェクトの方が練習台にはいいですよね!

LTっぽくしゃべるだけにしてみた

お遊びとなると、結構いろいろ妥協してすぐに決めることができました。まず、自分の姿を録画する必要がありません。ビジネス系だとジャケットを着てピシッと解説する必要がありますが、お遊びなのでおっさんの姿を映すメリットはありません。

つぎに内容ですが、noteで書いた内容をまとめて、LTみたいにスライドにして、操作しながら録音するという「絵付きPodcast」くらいのクオリティでもいいやと考えました。これだと昔から何度もやってきたので、さらに気構えずにできます。

手順としては

  • ネタを考えて目次を作る
  • その内容に沿ってスライドを作る
  • 必要に応じて紹介するサイトやYoutubeを用意する
  • 通しで話してみて練習する

ここまではLTと同じですよね。OBSというソフトを使うと、スライドや背景画像を自由に配置することができます。詳しくはググってください

そして、Youtubeに配信する流れとしては

  • Youtubeで配信用ブランドチャンネルを作り設定する
  • OBSで録音する
  • USBメモリiPadにコピーし、LumaFusionでカットする
    (あーとかえっとーとかは消せる)
  • Youtube Music Libraryから適当な音源をダウンロードしてLumaFusionで合成
  • アップロードして各種タイトルなどを設定し公開

こんなかんじです。慣れていなくてもググりながら2週間くらいあればできると思います。iPad×LumaFusionは音声をカットするのがめちゃくちゃ楽で使いやすいのですが、無料で進めたい場合はiMovieでも十分です。

出来上がったのはこちら


モバイルカーオフィスを作ろう!そもそも何それ笑

 

今回ははじめてで、画像やスライドのレイアウトを作るので力尽きてしまったので、ほぼLTよりPodCastという感じでしたが、徐々にこのスタイルで練習していきたいと思います。

よかったらチャンネル登録してください。100人を超えるとオリジナルURLが設定できるみたいなので。

新しい様式()でオフラインの劣化コピーを生み出さないために

 ネット上でのメディアや議論でも、実際のコロナに対するリモートワークやオンライン授業、セミナー類に至るまでたくさんありますが、ほとんどの記事はオンライン派かオフライン派に偏り過ぎています。

「やっぱりFace to Faceじゃないと生産性が落ちる」とか

 「もうオフィスはいらなくなる」とか

どちらかのメリットを語るインタビューばかりで、なかなか次の議論に行かないので、

今日は声を大にして言いたい!!!

 

オンライン化は対面の劣化コピーじゃねえ!!!

どういうことかというと、これをみてくれ

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図:オンラインと対面の価値

 

旧態依然としている組織や、いきなり上から降ってきて何をしていいかわからない現場の作業者の皆さんが、オンライン化を一生懸命考える、あるいは拒否することが多いと思うのですが、こういう現象が起きています。

 

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対面でできることの再現性しかみてない

どうみても丸がしぼんでます。いままで対面で出来ていたことを、できるだけオンラインで再現できないかとチャレンジするわけです。ですが、車が海を航海できないように、船が陸上を進めないように、得手不得手があるのです。(水陸両用車を考えた方、燃費や速度や航続距離や快適性まで考えてくださいね!)

 

そのため、できるだけ高画質でまるでそこに人がいるようにビデオ会議ができないか、とか、オンラインでPDFを配布して紙に印刷してもらおうとか、「企画だけ見るともっともだが実際にやってみると目もあてられない劣化コピーが生み出される」ことにつながります。

 

ポイントとしては、企画だけ見ると気づきにくいということです、なぜなら多くの企画は複数人のチェックを通過し、その複数人はいままでの生活様式()に慣れているから、気づくことが難しいのです。

イノベーションのジレンマではありませんが、馬には馬の、自動車には自動車の良さがあるのに、馬の体験を再現することばかり考えてはいけないのです。陸上は自動車で走って、海上はフェリーで車ごと輸送して、また陸地についたら車で走りだせばいいじゃないですか。

 

デジタルならではの価値って何?

 

いろいろありますね、まず、間に人間が挟まることによる制約がない事。クラスのプリントを小学生に配布しても、全体の約18%、男子の約49%(独自調査)が引き出しの中で発酵させることによりロスを起こしますよね?それが学校から保護者に直接届くからロスがなくなるわけです。

 

「やすみます」の連絡帳も深夜3時に発熱が起きた段階で先生が出勤されてなくても伝えることが可能です。時間や地理的な制約がない事につきますね。

 

データ蓄積によるアシストもできます。日本人だけでも同じ目的で何かをする人間はたくさんいるので、ほかの人はどうしているか、全国規模でみるとどうなのか、統計値や本人の行動からアシストすることができます。それも、特にケアが必要な人だけでなく全員に提供することができます。

 

もちろん対面の良さを付加することができます。一律の対応に比べ、特別対応な必要な顧客や相手にだけ追加で連絡を取ることもできます。

 

なにがいいたいか、だいたいわかってきましたね

 

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こっちをめざす

「世界の動向をみると、いままで陸地ばかり移動していたが、海というものもみんな進出しているらしい。海で快適に過ごすには、陸上の知恵もある程度生かせるが、海ならではのノウハウがあるらしい」こういうことじゃないですか。

 

じゃどうすればいいのさ

 

勉強してほしい。ごめんやけど、いまITの世界は無料でできること、プログラマーを雇わなくてもちょっと頑張ればできる事、たくさん増えています。

勉強のために、一時的に完全にオンラインに振り切ってみるのはアリ。対面の良さを生かさない、対面の業務フローと整合性を取らないでまずオンラインの良さだけで勝負することで学べることがたくさんある。

すくなくとも、この図を貼り付けることで、企画会議の時にみんなの意識を劣化コピーの方にもっていかないように、海に向かってフェラーリで突進しないように、なにとぞ、お願い申し上げる次第です。