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「基礎から学ぶ チーム開発の成功法則」を読んだ

 こちらの本を献本いただいたのでさっそく読んでみました。

基礎から学ぶ チーム開発の成功法則 (開発現場の教科書)

基礎から学ぶ チーム開発の成功法則 (開発現場の教科書)

 

 こんなんじゃだめだ!スクラム(or XXX)やらなきゃ!の前に

今年は会社にスクラムのPO研修受けさせてもらって無事POになったんですが、本業のほうはいま10人くらいの制作チームにまで成長して、Qごとにチーム運営方法を整備したり変えて行ったりと非常に大変な1年だったなと思っております。

また、いくつかの開発現場にコンサル的な形でおじゃまさせていただいて、特に東京だからかもしれませんが、いわゆる本書のような「チーム開発の運営」ができる人材というのはほとんどいないなと。

まだまだCIだったり、デザイナーとエンジニアとコラボしたりっていうのを「経験」として持っていて、かつ言語化できるひとというのは希少だと感じています。

そういう人がいない現場では何が起こるかというと「なんかわからんけどおかしい!!」という風になるわけです。その矛先は、無差別に新しい要件を持ってくる上の人だったり、逆に○○しかやりません!みたいに硬直化するメンバーだったり様々ですが、解決策がわからないと「この状況を打破するにはスクラムしかない」といった銀の弾丸思考になりがちです。

開発手法だけでなく、ツール、コミュニケーションまで踏み込んだ一冊

その点で本書は、チーム開発を取り巻く「やるべきこと」にどのようなものがあればいいのか、幅広い観点で書かれています。

Chapter 1 チーム開発の概要
チーム開発手法の概略と、開発手法を利用する上で何が重要であるかを解説します。
Chapter 2 チームの役割
チームに必要とされる人材とそれぞれの役割を説明し、チームの全体像を描けるように解説します。
Chapter 3 チーム開発に使うツール
数多く公開されている開発ツールから最低限必要なツールを紹介し、チーム開発への導入を解説します。
Chapter 4 チームでのデザイン制作
チームデザインで発生する各種作業の内容や、制作する成果物を解説します。
Chapter 5 コーディング
効率よく実装し品質を向上させる、コーディング方法やコードレビュー、ユニットテストの重要性などを解説します。
Chapter 6 自動化とリリース
ビルドからサービスのリリースに至るまで、継続的インテグレーションとデリバリー、プロモーションなどを解説します。
Chapter 7 チームのライフサイクル
チームのライフサイクルを解説し、高い生産性を誇る安定したチームを作成する術を解説します。
Chapter 8 チーム開発のフロー
サービスがリリースされるまでのフローを、自社開発と受託開発それぞれの視点から解説します。

 「コードレビューしたほうがいいよね」「Jenkins立てて自動化したほうがいいよね」「振り返りやったほうがいいよね」という一度は聞いたことがある、そしてやったほうがよさそう系の事が網羅されています。

さらにはツールにも言及されていて、Backlogを使うのか、Confluenceを使うのか、GithubWikiを使うのかといった点も、経験が少ないチームにはその入口として役に立つと思います。どうしてもツール導入には学習コストが伴うので、疑心暗鬼のまま進むと身につきにくいし。

プロデューサー・エンジニア・デザイナーがどうコラボするか

本書は幅広い内容を網羅した内容となっていますが、最後のChapter08を最初に読むのもいいかもしれないです。自社企画を進める場合や受託の場合など一通りの流れが書いてあって、それぞれの場合にどこを読めばいいかが示されています。

本書に興味を持つのは、現場に課題感を持つエンジニアだったりすることが多いと思うので、まずは視野を広げて、別の職種がどういう仕事をやっているかも俯瞰することが、ボトルネック改善の第一歩になるのではないでしょうか。

どうしても、強い危機感・課題感とぱっと目についた開発手法が組み合わさって、非常に狭い範囲での部分最適に陥ってしまうことが往々にあるので、本書のような全体を網羅した本を何度もパラパラとめくる、あるいはチームで輪読することで、自分たちがまずやるべきことが見えてくるのではないかと思います。

冬休みの読書にお勧めの一冊です!

 

基礎から学ぶ チーム開発の成功法則 (開発現場の教科書)

基礎から学ぶ チーム開発の成功法則 (開発現場の教科書)

 

 

 

HP Spectre x360(USモデル)買ったぞ、これはいいぞレビュー

 ついに届きました!HPのSpectre x360のUSモデル。最高です。

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開封の儀をしようと思ったけど、さっさと使ってしました。hpロゴが主張しなくてよい感じです。

重さは、個人的にはやや重いです。MacBook Air 2011からの乗り換えなので、約200g重くなりました。会社で使ってるVaio Pro 13 mk2と比べると体感でかなり重くなったイメージです。

スペックをおさらいすると

  • CPU Intel Core i7 7500U(Kaby Lake)
  • メモリ 16GB
  • SSD 512GB NVMe
  • USB Type-C x 2 / USB-3.0 x 1
  • 重量 1.29kg
 

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ついにUSキーボードデビューしました。打鍵感はめちゃくちゃ良いです。シルバーで統一されているので、なんか一昔前のMacみたいなかんじです。PowerBook12インチってこんな感じでしたねw

トラックパッドもガラス製で、これがWindowsか・・というくらいなめらかです。上下だけでなく左右スクロールもなめらかです。キーボードレイアウトの右端にいろいろついているのはまだ慣れないですが、USキーボードはすぐになれました。ブラインドタッチもこれを機に習得してみようと思います。

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なんか革製のスリーブもついています。まぁいいんじゃないでしょうか。

外で使ってみた

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子供を英語の習い事に送って待っている間、マクドで時間を過ごします。左側に従来のUSB-3.0ポートがついているので、ちょっとしたiPhoneの充電など従来のケーブルが利用できてよいです。しばらくはまだケーブル買い替えずに済みそうなのと、ちょっと人に借りるときにも便利そうです。(右側はUSB Type-C×2、Thunderbolt 3対応)

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せっかくなので2 in 1のフォームで使ってみました。完全にひっくり返して閉じてしまうタブレットモードは意外と重たく、画面の端を誤タップしてしまうので、そこまで使うかわかりませんが、気に入ったのがこのモードです。

画面が手前に表示されるので、最近視力の落ちてきたおじさんがKindleのコンテンツを読むのに適しています。だらだらできます。タブレットをスタンドに立てかける感じですね。13インチなので画面も文字サイズも大きいです。

意外とましになったWindowsの高解像度・フォント対応

前回の記事で、あと3年くらいはかかりそうと書いたWindowsの高解像度およびフォントが汚い問題ですが、ヒラギノが好きという要望が満たせない以外はわりと良好でした。

日常利用のアプリはほぼネイティブ化されており、フォントのレンダリングRetina対応されています。ChromeについてもデフォルトフォントをMSゴシックからメイリオに変えることで快適に使えます。(がしかしせっかくなのでEdgeつかってみてる)

 

 

【比較】USB-Cディスプレイはフィリップスの25インチがおすすめ(有線LAN付)

HPが米国ストアから転送屋さんに向けて出荷中なのですが、ディスプレイをどうするかずっと調べていて、USB Type-Cに対応しているディスプレイの中ではフィリップスの258B6QUEB/11がお手頃で良いのではないかと思っています。

 

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まだまだ選択肢の少ないUSB Type-Cディスプレイ

2016年12月頭の状態では、発売が開始されているUSB Type-C接続のディスプレイは非常に少ないのが現実です。せっかくなので比較表作りますね。

製品名 EIZO FlexScan EV2780-BK LG 27UD88-W フィリップス 258B6QUEB/11 
サイズ 27インチ 27インチ 25インチ
価格(最安値) ¥94,753 ¥72,700 ¥52,169
発売日 2016/11/18 2016/4/15 2016/9/中旬
パネル種類 IPS AH-IPS IPS
解像度(規格) WQHD(2560x1440) 4K(3840x2160) WQHD(2560x1440)
応答速度 オーバードライブオフ:15ms(GtoG) 5ms(GtoG) 14ms(GtoG)
  オーバードライブ強:5ms(GtoG)   SmartResponse:5ms(GtoG)
コントラスト比 1000:01:00 1000:01:00 1000:01:00
拡張コントラスト比   5000000:1 20000000:1
輝度 350 cd/m2 350 cd/m2 350 cd/m2
視野角(上下/左右) 178/178 178/178 178/178
画素ピッチ 0.233 mm 0.155 mm 0.216 mm
消費電力 96 W 29 W 145 W
LEDバックライト LEDバックライト LEDバックライト W-LED システム
DVI    
D-Sub    
HDMI
USB
DisplayPort
スピーカー搭載  
音声出力端子
USB HUB
HDCP
ピボット機能
(画面回転)
スイーベル機能
(水平回転)
 
チルト機能
(垂直角度調節)
高さ調節機能
カラーマネジメント機能      
PBP  
VESAマウント
G-SYNC      
FreeSync    
MHL対応      
611.6 mm 615 mm 571 mm
高さ 545.2 mm 535 mm 511 mm
奥行き 245 mm 222.6 mm 244 mm
重量 8.1 Kg 6.2 Kg 7 Kg

オリジナル:kakaku.comの比較表

ちなみに、ASUSの15インチとか、モバイルタイプは除いています。また、Acerも27インチモデルでUSB Type-Cに対応したモデルを見かけたのですが日本では見つけることができませんでした。

パソコンへの給電(Power Delivery)の出力は異なる

意外とスペックシートに記載されていないのですが、USB-PDでMacBook が充電できる!とおもっても出力が全て同じわけではないのです。

たとえばEIZOFlex Scanは、画面の明るさをセーブした場合、30W(20V 1.5A)で給電可能ですが、明るさをセーブしない場合は15Wまでの給電となります。

15Wの場合、MacBook proだとCPUのぶん回し方によっては充電が追いつかないか、遅くなる可能性がありそうです。

その点、フィリップスの258B6QUEBは、60Wにまで対応しています。LGも、説明書に記載が見つからなかったのですが海外のレビューを見ると60Wに対応している模様です。

フィリップスの豊富なコネクションがすごい。有線LANポートも

フィリップスは25インチと一回り小さいのですが、とにかくケーブルの接続が豊富です。こちらの図をご覧ください。

 

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ダイアグラムなのでサイズ感おかしいですが、だいたいなんでもつながります。デイジーチェーンのUSB Type-Cポートが存在しないくらいで、USB3.0x3、DisplayPort、そして極め付きは有線LANを搭載しています。

これ、かなり机というかノートPC/MacBookの周りスッキリしそうです。ぜんぶ液晶の裏面に刺してしまえばいいので。音質も2Wなので期待できないですが、3.5mmの出力があるので、USBあるいは3.5mmジャックでPCスピーカーを繋ぐと良さそうです。

Amazonで取り扱ってないのでNTT-X storeとかがいいんじゃないでしょうか。

nttxstore.jp

 

お買い物:HPのSpectre x360米国モデルを買った

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メインマシンがMacBook AirのMid 2011なんですが、開発しないのでそこまで困ってなくてもそろそろ買い替え時ということで、Windowsに乗り換えることにしました。

ちなみに、いまのMacBookのスペックはSandy Bridge世代のi7(2677M)で、メモリ4GB、SSD256GBという当時ではultimateモデルと呼ばれるBTO機でした。ネットサーフィンくらいだとまったく問題ないです。

store.hp.com

Windowsにしました

 MacBook Proに買い替えても良かったのですが、最近のMSの頑張りとAppleMacBookに対する進化していない感も感じ、Windows機にすることにしました。すでに職場ではVaio Z Pro 13 mk2を使っており、使い勝手に関してはおおむね満足しています。

しいて言うなら、高解像度モニタへの対応が不十分なくらいですね。いわゆるRetina対応が許せるレベルになるのはあと3年はかかりそうな気がします。

ZenbookかSpectreか

僕の選定理由は、16GBメモリでi7U系で1.3kg以下、軽ければ軽いほうが良い。です。

当初夏ごろはRazorっていうゲーミングノートしか候補がなかったころに、ASUSからZenBook 3の発表がありました。こっそり某所でいち早く製品も触らせてもらい、トラックパッドのスムーズさとか軽さとかかなり気に入りました。

メモリ16GB積んでこの軽さ、まじスゲーな!と

 

しかし、いざ買うとなると、そろそろUSキーボードに乗り換えようかなとか、海外端末も見るようになりました。あと、MacBook Proを手にした人たちがいわゆるドングル地獄に陥っているのを見て、USB-C1ポートはちょっと不安だなーと。

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あと同心円デザインとロゴのドヤ感があんまりでした。

2 in 1でいいんじゃないか

そうこうしているうちにKaby lake搭載モデルが出始め、Kaby lake搭載モデルで16GBメモリが搭載出来て、あまり重くないとなると以下に絞られました。

参考:The complete list of Intel Kaby Lake (Kabylake) portable laptops and ultrabooks

性能差がほとんどないようなのでKaby lakeにこだわる必要はないのですが、まぁ気持ちの問題ということで。

で、見ているうちにせっかくWindowsにするなら、Macにはない180度以上回転してタブレットっぽく使えるモードを活用しても面白いのではないか、と思うようになり、YogaかHPかでいうとHPのほうが頑丈そうなのでHPのSpectreにしました。キーボードの右端にPageUp/Downとかついてて間違いそうなのですが、この機会にブラインドタッチを覚えればいいかなと思いました。

あと、Windows勢にある、でかでかとしたロゴがうっとうしい問題が今回のモデルだとおとなしくなってるのでその点もとても好感を持ちました。

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斜めの棒4本でhpと表現しているようです。HEWLETT PACKARDロゴも少し前にありましたが、こちらの方が好きです。

気になるスペックは以下の通りです。

Operating system

Windows 10 Home 64

Processor

Intel® Core™ i7-7500U (2.7 GHz, up to 3.5 GHz, 4 MB cache, 2 cores)

Processor technology

Intel Turbo Boost Technology

Graphics

Intel® HD Graphics 620 (up to 8.06 GB)

Display

13.3" diagonal FHD IPS UWVA WLED-backlit multitouch-enabled edge-to-edge glass (1920 x 1080)

Memory

16 GB LPDDR3-1600 SDRAM (onboard)

Hard drive

512 GB PCIe® NVMe™ M.2 SSD

Wireless

802.11ac (2x2) and Bluetooth® 4.2 combo

Power supply

45 W AC power adapter

Battery

3-cell, 57.8 Wh Li-ion

2 USB 3.1 Type-C™ Gen 2 (HP Sleep and Charge, Thunderbolt Gen 3); 1 USB 3.1 Gen 1 (HP Sleep and Charge); 1 headphone/microphone combo

Energy efficiency

ENERGY STAR® certified; EPEAT® Silver registered

HP Wide Vision FHD Camera with dual array digital microphone

Audio

Quad speakers; Bang & Olufsen

Special features

Webcam supports Windows Hello

Sensors

Accelerometer; Gyroscope; eCompass

Color

Natural Silver

Pointing device

HP Imagepad with multi-touch gesture support

Keyboard

Full-size island-style backlit

Dimensions (W X D X H)

12.03 x 8.58 x 0.54 in

Weight

2.85 lb

お値段は転送サービス利用料込みで15万円くらいに収まる予定。Macよりはやっぱ大幅に安いなぁ。本体がブラックフライデーで約1200ドル、転送に州税、送料、手数料あたりで160ドルくらいと予想。

新規機能要望をトリアージする10の質問

 どうも。プロダクトオーナーを普段やってるのですが、業務の何割かを占める、改善といいますか、エンハンスメントについて書きたいと思います。

前提として私のプロダクトはB2B2Cで、とある施設に導入いただき、そこのスタッフの方と一般のユーザーがアプリを利用してやり取りをするようなゆるめの業務システムです。エンジニア10名程度の小さめチームで、ゲーム・エンタメや基幹システムとは少し違うと思います。また、日々の改善なので新規企画とも違います。

○○機能を××してほしいです。

お客様や現場担当者からこのような要望を日々よくいただきます。その要望の中からチームのリソースを用いて最良の投資対効果を出すのがぼくの仕事なのですが、ご要望を頂いてチームに落とすまでプロダクトオーナーとして自ら行っている質問を言語化してみたいと思います。

■Clarify(クラリファイ・明確化・深掘り)

1.なんでそれがほしいと思ったの?

→たいていの場合、チームに寄せられる要望はすでに実現手段まで考えていただいていることが多いです。

例)「アプリのグローバルメニューに、AA機能を追加してください。

しかしながら、多くの場合で実現手段を考えるのはその道で食ってきてる我々のほうがよく知っているはずです。なので、実現手段を思いついた「理由」を深掘りするようにしましょう。

→「なぜAA機能を追加したいの?」→「よく使うからです」→「え、なんでその機能を頻繁に使ってるんですか」→「うちはXXだから、AA機能でZZしてるんです」→「いやーそれ確かにそういう使い方もできますけど、それだったらBB機能にCC用意したほうが嬉しかったりします?」→「たしかに!そのほうが最高ですね」みたいな事がよくあります。

背景にある課題や行動は、利用者のほうがプロであることも多いので、そこは利用者の行動を尊重しつつ、解決手段は作りてのプロが考えるというわけです。

■Volume(ボリューム・量・頻度)

次に、要望の真意がわかったら、同じような要望を持っている人がどの程度いるか考えます。ここはあくまで仮説ベースになりますが、ごくごく一部のユーザーのために全体の改善が滞ったりするとあまり良くないので(ときには必要ですが)量や頻度を見極めます。投資対効果の効果の量です。

2.それを希望している人はどれくらいいるの?

→まずその機能を使っているユーザの人数や割合をみます。できればデータで見ましょう。ヒアリングベースだと人間の肌感は意外とあてにならないことが多いからです。Analyticsなどで該当機能のPVをみたりデータベースの件数をとったりします。

→そして、その上で当該機能に要望を持っているユーザが何割くらいいるかを、こちらはヒアリングベースでアタリをつけます。

3.その行動をする頻度はどれくらい?

→1日3回使う機能が10%良くなる方が、1年に1回しか使わない機能が200%良くなるよりも嬉しいものです。また逆に、高頻度なものは下記の副作用にも慎重になる必要があります。

■Return(リターン・目標到達・効果)

投資対効果のうち効果の「質・方向性」です。

4.それを満たすことで我々の目指す世界に近づく?

→プロジェクトのビジョンや存在意義があるはずです。我々はXXを通して○○を支援し、ZZな社会を実現します!みたいなやつです。それと照らし合わせて方向性がずれていないかを考えます。

あまりいい例えが見つかりませんが、暗算力を向上するという存在意義があるのに、計算ドリルに電卓機能をつけてくれという要望は方向性がずれているといえるでしょう。

5.それを満たすことでビジネス成果が出る?

→リソースは有限なので、安定して長期に渡りこのプロジェクトが運営できるだけのビジネス成果を出す必要があります。それは会員登録数だったり、売上だったり。直接ではなくても「ユーザー満足度が高まることで解約数が減る」などとビジネス成果にどうつながるかは意識しましょう。

■Method(メソッド・手段)

では、やったほうが良さそうだ。となったらどう実現するかを考えます。ここはエンジニアさんに相談したりします。投資対効果の「投資」を最小化する方法を考えます。なんでもかんでも死ぬほど残業して解決するのはスマートではありません。

6.システム開発でしか解決できない?

→顧客がほしいのは1/4インチの穴が開けられるドリルではなく、1/4インチの穴である。というのは名言ですが、意外とマニュアルを整備するとか、シールを貼るとかQuick Fixのほうが実用性が高い場合があります。

7.どのような実装方法が考えられる?

→松竹梅で考えます。毎日使う機能であれば松案、あまり使わない機能だったり、ほしいと思っている割合がそこまで高くない改善なら梅案など使い分けます。

■Quality(クオリティ・品質)

作る方法がざっくり決まったら、念のため再検証します。本当にそれで良いんだっけ?と一度振り返りを行いましょう。UIUXデザイナーさんやマーケ担当にも場合によっては確認します。

8.改修したことによる副作用はない?

→そこに機能追加することで、初心者が迷うのでは?学習しなければいけないことが増えるのでは?構造が変わることによってマーケの計測値がブレるのでは?「出来ること」が増えることにより「やらなければいけないこと」が増えてしまうのではないか?保守性が下がって今後の開発がスローダウンするのではないか?

→さらに、あちらを立てればこちらが立たず、という改修もあると思います。だからといって管理画面で好きな方法を選べるようにしようなどと安易に逃げると、管理画面でお好みの設定を選ばないと使いづらい玄人向けシステムになってしまいます。

9.それは「あたり前品質」を満たしていない?

→ここまでで投資対効果が見えてきました。しかしながら投資対効果が低くても加点した方がいいものに「当たり前品質」を満たしているかがあります。ユーザーさんの期待値によって異なるのですが、これを満たしていないものは計測しにくいダメージをプロジェクトに与えていることが多いので、納得の行くロジックが思い浮かばなくても経験上加点するようにしています。

→たとえば0.1%のユーザーに致命的ではないエラー画面が出てしまう。投資対効果でいうとあまり高くないので、本来は「1年以内に直します」が妥当だったとしたら、加点して「3ヶ月以内に直します」に格上げすると言った具合です。

qiita.com

■そして最後に

10.今までの話を総合して、投資対効果の度合いは他の課題と比べてどう?

ここまででだいたい投資対効果が見えてくるので、今までに積み上がっている作業タスクとくらべて優先度付がなされ、チームに落とされます。

 

(ボーナス!)11.とは言えたまにはウェットな判断も

個人的には、チームメンバーとの関係性とか日本的なウェットさも好きなのでたまに判断を捻じ曲げます。

もってくる営業さんの熱意に負けて要望をえこひいきしたり、この要望をやるのはこのエンジニアで、彼の現在の興味とも合致するから優先度あげちゃっていいやといった、やりすぎると良くないけど適度(10%以下くらい)にそういう「余裕」も入れたいなと。

だって、あくまで仮説だしどこまでいっても完璧な判断はないから、チームが楽しく働けるほうが総合的にいい仕事できる気がするんよね。

ブコメなどでツッコミお待ちしております。

エンジニアキャリアのためのアーキテクチャ選定権という報酬

こちらの2記事を読んだのと、社内でエンジニアに一定の時間なにかに打ち込む時間を提供するという案について先週議論したので、常々考えている報酬(あるいは福利厚生)としてのアーキテクチャ選定権というものについて書きます。

 

blog.yuku-t.com

paiza.hatenablog.com

なお、paizaさんのベース記事による「ITエンジニア」は非常にスコープの広いエンジニアを対象としていると思われますが、私が対象にしているのは大手SIerなどではないWebエンジニアです。

学び続けないと死ぬんだけど、学ぶの大変すぎ問題

Webエンジニアは技術のトレンドの移り変わりや進化が早く、また雇用も他職種に比較すると流動的なので、学び続けないとキャリアが頭打ちになりやすいわけですが、年々難しくなっています。

範囲広すぎ!

ほんの10年前は、Webサイトを構築するプログラミング環境といえば、Perl / PHP / JSP / ASP そしてRailsの芽が出始めた頃でした。jQueryもまだ世の中に無く、フロントエンドエンジニアという職種はありませんでした。

ところが、いまエンジニア向け求人サイトをみてみるとこういう状態なわけです。

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(例:CodeIQ JOBS https://codeiq.jp/jobs/ の検索画面)

言語だけでなく、インフラエンジニアであっても同様です。前佛さんのスライドをいつも引用させていただくのですが、このような状況です。

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SlideshareRe: ゼロから始める監視設計

「インフラを学びたい」といっても、AWSなのかGCPなのかオンプレなのかで学ぶ内容の優先度が異なりますし、それぞれ奥が深いわけです。

語弊を恐れずカンタンに言うと、300種類くらいの技術要素のどれが流行るか(雇用やキャリアアップに直結するか)わからない中から、自分の限られた時間をどれとどれに投入するべきなのか超悩むのです。

特にフロント界隈は、コレが定番というのがなかなか現れずに地獄と化していますね。

フロントエンドでみた、情報系ブログとはてブの地獄メカニズム - エモくありたい

高度すぎて個人で学べない・コストかかりすぎる

学ぶべき対象が広すぎて悩む問題を乗り越え、これをまじめに取り組もうと進んできた時にぶつかる壁が難易度の高い学習は個人でやりにくいという点です。

本当に必要とされる人材というのは1番目の id:yuku_t 氏のエントリにある通り、「あの人はプロフェッショナルだ」と呼ばれる人だと思うのですが、たとえばWeb言語(golangとか新しいものを想定して)において以下の様な知見は個人の机上の開発では身につきにくいでしょう。

  • 10人以上のエンジニアで作るときに保守性を保つには?
  • サーバを分散した時のベストプラクティスは?
  • いまのX年メンテしたPHPのコードをリプレースするほどの価値がある?

インフラでも同様です。企業レベルのAWS操作スキルを身につけようと各種製品をいじっていたら、あっという間に月額数万円かかってしまう可能性があります。(無料枠も初年度だけだし、毎年新機能出るし)

そこで企業によるスキルアップの支援を求めるようになる

ここまでのおさらい

  • 学んだほうが良さそうな技術要素が世の中にあふれている
  • 全く無駄にならないとはいえ、できるだけ雇用やキャリアに直結するものを選定したほうがコストパフォーマンスが良い。
  • プロフェッショナルと呼ばれるレベルの知見を個人の机上で獲得するのは難易度が高い

そのような状況で、ミドルクラス以上のエンジニアは、自分が伸ばしたい技術要素を採用している企業に転職したりするわけです。

企業サイドとしては、出来るエンジニアに抜けてもらっては困るので、転職しなくてもうちでそのキャリアアップできますよ。という点が補強できればより定着してくれるのではないでしょうか。

(※もちろん、転職時には技術キャリア以外の要素も多分にあると思いますが)

 

そこで、報酬、あるいは福利厚生としてのアーキテクチャ選定権です。一定以上のレベルのエンジニアが「おれはgoが来ると思うからgoで書きたいんだ」「Erlangだ」「React.jsを実戦投入するんだ」という希望を自社のプロダクトで満たしてあげる。それはなにも大きいものでなくても、社内向けツールでもいいわけです。

やりかたは20%ルールみたいなものでも、本当にプロダクトでやってみるのも良いのですが、エンジニアの「時間」と「サーバ代などお小遣いの範囲では厳しいコスト」を会社としてサポートしてあげることは、組織として検討してもよいのではないでしょうか。

 

「検討して」というのは、やはり個の要望の数だけ聞いていると、メンテする人がいない、プロダクトや事業として本来のゴールを満たすスピードや質が低くなる、などのデメリットが出てくるためです。

なので、その技術要素をやりたい人を募る投票制にしたりテーマ制にしたりして、個人のキャリアも伸ばしつつ組織の知見としても活かせる方向の解決が良いと思います。

 

もっと小さな組織の場合は、「この人!」という人を一本釣りするためにチーム側をすべて合わせていくという属人性MAXなハイリスク採用戦略としても使えると思います。

NewRingとかジギョつくみたいな新規事業コンテストの運営課題

Facebookに書こうと思ったけど長くなったのでブログで。

今日は、RecruitVenturesにてNewRingという新規事業企画のメンターをやって来ました。事業企画を持ってきた人に対して壁打ちみたいに詰めてアドバイスしたり質問して気づきを得ましょうってやつを3組ほどさせていただいてたのです。

あと、その前に社内でエンジニアがこういう新規事業企画系に応募したくなるにはどうすればいいかみたいな課題について何人かで話をしたりもあって以前から思ってたところを整理してみようと思います。

企業が求める新規事業案のレベル感合わない問題

CAのジギョつくのころから感じてたけど、募集する側からすると応募の質を上げて欲しいんだけど、かといってハードル上げすぎると参加が減ってしまうからポテンシャルがある人の芽も潰したくなくて敷居を下げちゃう。(どんな案でもOK!)

なんだけど、敷居を下げ過ぎると、なにそれなんにも深堀りしてない、ジャストアイデアやんけ!みたいなのが増えてきて運営コストばかり増えて最終事業化する案って結局少ないよねってなる。

特に上場企業なんかだと「事業サイズ」の問題があって、イノベーションのジレンマほどではないんだけど、年商3000億円の企業からすると、年商2000万円くらい、めっちゃ頑張って5年で年商3億くらいにしかならないビジネスって、ぶっちゃけいらないわけです。

とはいえ、経営経験もない人がいきなり10億100億のビジネス考えれるかっていう問題と、たとえば100億規模でホラ吹きにならない程度に説得力のある事業企画書作るスキルって、ハードル高いし普段の仕事もある中で業務負荷高いよねって思うのです。

解決策は座学と素振りではないか

自分は今BBT大学院で卒業をかけて(危ういけど)2年次の講義を受けてて、その大半が新規事業系の講義なわけです。それをやってみると、やっぱり最低限のところはクリアしたうえでの議論ができる気がしてるんです。

座学である程度「新規事業を作るとは」っていう理論やケーススタディで、開始地点のボトムアップを図ってから、「後は本人の情熱でいってまえ!」っていうのが最適解なのではないかとおもい始めてます。

かつ、いきなり甲子園みたいなところに「皆さんの熱い応募お待ちしてますね!」っていっても良くないので、マッシュアップアワードが全国キャラバンやってるみたいな、事前にピッチイベントとかやって素振りさせるのが良いと思うんですよね。

一般的な(誰でも参加できる)コンテストと異なり、社内のものは社員しか参加していないので、広報をしっかりしてネットワーキングを充実させれば確度も上がってくるんじゃないかなと。

そもそも企業における新規事業コンテスト的な奴の位置づけは

2つあると思ってて、ひとつはもちろん新規事業やっていかないとゆるやかに死んでいくから新規事業を公募形式でやってきたいってのもあるんだけど、どちらかと言うと事業責任者をまかせられるポテンシャルがある人間を発掘することもウェイトとしては大きいんじゃないかなって思います。後は企画やりたい欲を満たすとかも一応。

だからといって勢いだけでロジックのないやつを引っ張りあげちゃうと周囲のヘイト値が貯まることにもなりかねないので、「情熱・知識・経験」のうち経験が少なくても知識ですこしは補ってあげればより質の高い事業企画コンテストになるのではないかなって思います。

とはいえ、運営コストに専任で人間を何人も貼り付けるっていうコスト投下もいきなりは難しいので、教材の整備とかを進めるのはどうでしょうかね。でもそこまで絶対新規事業やりたいっていう情熱がないとその教材も読まれないのですが・・

 

※固有名詞を出しましたが個人の見解です。